江戸川乱歩傑作選 江戸川乱歩

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読書会課題図書。

怖い!単純にストーリーの気持ち悪さ、怖さがというより、「これを書いて人に見せている人」の怖さ、業の深さを感じてしまう。私は昆虫標本や剥製がめちゃくちゃ苦手なのですが、そういう、生き物の死んだ姿を美としてコレクションしている感じがかなりあり、嫌悪感がドバーッときてしまった。

 

どの話も人間の社会でうまくやることができなかった人間の話です。そしてその奇怪さ、おそろしさを「ほら、これは怖いでしょう、気持ち悪いでしょう、そしてそういうものを思いつき、おもしろく語れる私の手腕をみてください」と言いながら作者がどんどん出てくるな。その作者自身の暗さ、おそろしさ、プライドじたいが何より私は怖かった。でも作品としてはおしゃれで完成されているので、病んでいる姿が絵になるのはいいなあとは思う。

 

特に最後におさめられた「芋虫」は、若松孝二キャタピラーの原案にもなっているんだけど、めちゃくちゃ後味が悪い。「戦争により大きな障害を負った男」というのはもう耽美主義とか変態性欲とかでは片付けられない範疇だという気がしてしまうんだよな。並べて楽しむ楽しいコレクションとするには倫理にもとる、とつい思ってしまう悲しい読書だった。